NPT会議関連情報2 

「核の無い世界のためのマンハッタンプロジェクト」井上まり代表より

核の無い世界のためのマンハッタン・プロジェクトは、NPT核兵器不拡散条約の再検討会議に合わせて、先月末に声明文を発表しました。また、51日のNPT再検討会議で、声明文の概要を3分にまとめたスピーチを発表する機会がありましたのでお知らせいたします。

 

スピーチは以下の国連テレビより録画を視聴できます。(57:10あたりです)

https://webtv.un.org/en/asset/k1j/k1j1ujhf1c

 

私のスピーチだけの部分は以下のユーチューブチャンネルからもご覧いただけます。

 

https://www.youtube.com/watch?v=MbLrf4X0FtE

 

NPT条約の3本柱は、核軍縮、核不拡散、原子力利用の推進です。今年は福島での原発事故から15年という節目を迎えましたので、声明文には福島から避難された方や福島で活動している方々のご意見を反映させました。昨年の世界核被害者フォーラムや世界核被害者の権利宣言2025についても言及し、核被害者の生きる権利と健康に生きる権利を尊重するよう強く求める内容にしました。

 

声明文は、国連の事務局にお願いし、NPT会議に参加している日本を含む締約国の代表が使用するテーブルに置いてもらいました。また、NPT会議関連資料やNGO声明をまとめていることで有名なReaching Critical Willという団体の以下のページからも、声明文をダウンロードできるようになっています。

https://reachingcriticalwill.org/images/documents/Disarmament-fora/npt/revcon2026/statements/1May_MPNFW.pdf

 

 

 

<声明文(日本語訳)>

          2026 年NPT 核兵器不拡散条約再検討会議に合わせた

          核の無い世界のためのマンハッタン・プロジェクトによる声明(仮訳)

 議長、ありがとうございます。

 これは核の無い世界のためのマンハッタン・プロジェクトによる声明です。

 私たちは、 福島第一原発事故の開始から1周年を迎えた2012年3月に結成された有志によるニュ ーヨーク市の団体です。私たちが目指すことは、元々のマンハッタン計画が世界に核兵 器と核エネルギーを解き放った許しがたい行為を元に戻すことです。世界の核被災地の 人々と協力しながら、核の植民地主義や核の帝国主義による継続的な悪影響から核被害 者の権利を守るための人権を中心とした政策を推進しています。

 昨年10月、私たちは広島で世界核被害者フォーラムを共催しました。フォーラムの最終日には、世界核被害者の権利宣言2025を採択しました。この宣言は、私たち全員が 被ばくをしない権利があることを認識し、核と人類は共存できないことを再確認してい ます。宣言はまた、多角的で具体的な政策提言の他に、核の加害者の責任追及と、核被 害者の権利と補償を確立することを目的とし、将来の核被害を軽減・排除するためのロ ードマップや指針を記載しています。

 

 議長、ご来場のみなさま、

 今年の3月、福島第一原子力発電所の核惨事から15周年を迎えました。核惨事により 16 万人が避難しました。日本では、まだ原子力緊急事態宣言が解除されていません。 現在でも、約4000人の原発作業員が被災した原発で毎日働いています。4万人以上が 依然として避難していますが、彼らの多くは依然として国内避難民(IDP)として認識され たり保護を受けたりしていません。環境中の放射能が高いため、住民が当面帰還できな いと予想される「帰還困難区域」も依然として存在します。

 例えば、被害を起こした原発から数キロの所にあり、放射性降下物の影響を大きく受け た町では、政府は2017年から住民の帰還、観光促進、地元産品の普及を目的として避 難命令の解除を開始しました。町の月刊紙には、町の空間線量測定結果や地元の魚に含 まれる放射性セシウムの調査結果が掲載されています。福島県全域に何千もの放射線モ ニタリングポストも設置されました。2011年の核惨事は必然的に地元住民の平和な生 活を変え、放射能汚染が残る地域に現在は住まざるを得なくしたのです。

 2011 年に福島から西日本へ小さな子どもを連れて移住した福島避難者のお一人は、生 命と健康に関する基本的権利の認識を求めています。彼女は、以下のように強調しまし た。「地球上の全ての人に被ばく防護の権利があります。私たちは避難した人だけの正 当性を訴えているのではないのです。命や健康に関わる基本的人権の問題として原発問 題を捉え直し、その権利を手放さないということを全世界の人々と手をつないで共に訴 えたいと願っています。」

 

 議長、

 環境省は、生活圏の放射線量を低減させ、人々を帰還させるために前例のないナショナ ルプロジェクトとして6兆円の予算を投じ大規模除染を実施しました。集められた汚染 土は1400万㎥、10トントラック200万台分です。これらを放射性廃棄物として貯蔵す るのではなく、資源循環と称して全国の公共工事等で再生利用しようとしており、さら に5兆円かかると予想されています。長期間の廃炉と除染ビジネスを請け負うのは原発 メーカーとゼネコンです。

 福島原発事故周辺の被災12市町村は「イノベーション・コースト構想」という名の産業復興政策を実施中です。元の町を一掃した跡に次々とハコモノを建設し、手厚い復興補助 金を誘い水に企業を誘致していますが、さながらショック・ドクトリンの様相です。参 入する企業の多くはロボット・AI、エネルギー関連などハイテク分野のスタートアップ です。イノベーション・コースト構想のモデルはハンフォードであり、核汚染除去技術 とそれに伴う産業発展の町・プルートピアを日米同盟の名の下にそっくり輸入するもの です。

 

 議長、

 2023 年8月24日、日本国内だけでなく諸外国の市民からの大きな抗議を無視し、日 本政府と東京電力は福島第一原子力発電所に保管されているALPS処理汚染水の海洋投 棄を始めました。私たち市民が海洋投棄に反対する理由は以下の通りです。

 

1、東電福島第一原発核災害発生直後から高濃度放射性物質が流出していたから 2012 年5月24日、東電は2011年3月26日から同年9月30日までで福島第一原発 から放出された放射性物質の試算は、放射性ヨウ素131は約1.1京ベクレル、放射性 セシウム134と137の合計は約7100兆ベクレルと発表しました。核災害前の年間管理 目標値は、放射性ヨウ素は4800億ベクレル、トリチウムを除く放射性液体廃棄物は 2200 億ベクレルであったことから、直後から高濃度放射性物質が流出し、太平洋は酷 く核汚染されていたことは明らかです。

 

2、放射性物質は溶けてなくならず、海流に乗って移動するから 1954 年3月、米国のビキニ環礁水爆実験による汚染調査を行った日本の科学者は、同 環礁付近から流れ出した放射性物質が深さ100メートル、幅数十キロから数百キロの ベルト状にゆっくり流れていたことを確認しました。海水の密度は底に近づくほど次第 に大きくなり、上下に安定した層をなしているため、上下方向に水が混合することは非 常に難しい、つまり放射性物質は溶けてなくならないことが明らかになりました。( 三 宅泰雄著『死の灰と闘う科学者』岩波新書68ページより)。

 また『Nature』( 2024 年3 月1日webサイト)に発表された論文Surface and subsurface dispersal of radioactive materials from Fukushima by subpolar gyre and intermediate waters in the North Pacific<https://www.nature.com/articles/s41598-024 55328-7>は、オホーツク海中の放射性セシウム134の濃度が2011年よりも2022年の 方が高くなっているのは、東電福島第一原発より放出された放射性セシウムが太平洋を 横断し、オホーツク海に還流したことが原因で、つまり放射性物質は海流に乗り太平洋 を移動している、また放射性物質の一部、例えば、オホーツク海沖北緯40〜50度付近 の放射性セシウム137は、海流により水深700メートル付近の北太平洋中層水にまで 鉛直分布し、さらに海流に乗り、日本海まで移動していると論じています。

 

3、人類は、全ての命の源である海の環境保全に務める義務と権利を有しているから 核実験や原子力発電所事故により、人類は全ての命の源である海で核被害を拡散し続け ている厳然たる事実を認め、猛省し、未来世代により安全で良好な環境を残す努力と責 任が求められています。大海原を目の前にして内部、外部被ばくを恐れ、子どもに海産 物を与え図、海水浴を避ける福島の親たちがいます。この現状は、彼ら彼女らの「安心 して生きる権利」を奪い続けています。 以上の科学的な見地と共に、意図的、追加的にALPS処理汚染水を投棄することは倫理 的、人道的にも許されません。

 

 議長、ご来場のみなさま、

 広島と長崎の恐るべき原爆攻撃からわずか10年後の1955年に、原発は日本で推進さ れました。一方で、政府らは太平洋での核実験による壊滅的な影響を隠蔽しました。太 平洋での核爆発による高レベル放射性降下物は太平洋の地域だけでなく、何百隻もの日 本の漁船にも影響を及ぼしました。現在は90代の被災した乗組員や遺族は、今も法廷 で賠償を求めて闘っています。

 私たちが学んだ痛ましい教訓は、放射能汚染の真の影響が多くの核被災地で軽視され、 あるいは意図的に隠ぺいされてきたということ、またその一方で、壊滅的な核技術が世 界中で持続可能または平和的であると誤って喧伝されているということです。一度、放 射性物質が環境に放出されると、それらを完全に封じ込める技術は私たちにはないとい うことを強調したいと思います。予防こそが現在および将来の放射能による被害を軽減 する最も効果的な方法です。したがって、私たちは核兵器だけでなく、核実験、核施設 への攻撃、核(原子力)計画の拡大、ウラン事業、核(原子力)施設の稼働と建設にも 強く反対します。核の野望を達成するために数十億ドルもの税金を使う代わりに、NPT 条約の締約国に対し、核被害者や過去または現在も続く被ばくの被害に苦しむ被災地の 生命と健康の奪い得ない権利を守ることに私たちのリソース(財源、資源、知識な ど)を注ぐよう求めます。核被害者が新たにつくりだされない核のない未来を、共に築 きましょう。

 ノー・ニュークス!今すぐ停戦を!

 

NPT会議関連情報

 NY井上まりさんからの情報を共有します。可能な方はぜひ視聴して応援してください。

 

 ニューヨークの国連本部で開催されるNPT再検討会議に合わせて、以下の反核・平和イベントを共催・参加しますのでお知らせします。米国東部時間は日本より13時間遅れています。

 

NY時間の426()午前10時~正午 NY公共図書館前(5番街と41丁目)米平和団体による街頭集会とパレード(被爆者、韓国原爆被害者、被爆2世、高校生平和大使、日本被団協、原水協、原水禁、平和フォーラムの代表らがリレートークで発言します。音楽も予定しています。以下のユーチューブチャンネルから、ニューヨーク時間の午前945分ごろ(日本時間の426日午後1045分ごろ)からライブ中継を予定しています。https://tinyurl.com/nuclearfreeworld2026

 

 426()午後2時~6時(米国東部時間)日米の平和団体による国際会議。登壇者は被爆者の濱住さん、米専門家・平和活動家、秋葉元市長、米科学者、オーストリア外交官、韓国の若者などです。ネット配信、日本語通訳もあります。企画・運営と通訳の一人として私も協力しています。こちらからご登録ください。日本時間の427日午前3時から7の時間帯です。

  51()午前10時~1時(日本時間51日午後11時から52日午前2) 国連NPT再検討会議で約30NGO団体が発言する機会があり、私は核の無い世界のためのマンハッタン・プロジェクトを代表して発言します。日本被団協、広島・長崎市長、広島・長崎県知事らも発言予定です。会議の様子は当日国連テレビで中継される予定です。

2026年 第11回NPT(核不拡散条約)再検討会議について

核兵器をなくす日本キャンペーンより

NPT再検討会議について「そもそもどのようなものか」

解説・レポートされています。

https://nuclearabolitionjpn.com/archives/11889

4月17日21時より

「そもそもNPT再検討会議って?」という配信番組を行います。

https://nuclearabolitionjpn.com/archives/11700

<アーカイブあり>